星野先生のメッセージ

横浜オラトリオ協会合唱団 会報337号(2011年11月18日)より

 (* 2011年10月23日の第75回定期演奏会を終えて、指揮者の星野先生が会報に寄稿されたメッセージです。)

 第七十五回定期演奏会のご成功おめでとうございます。
 舞台上で私は皆さんの歌を聞きながら、驚きとこみ上げる嬉しさとで何とも言えない興奮をおぼえました。ああ、本番ってこんなにも楽しいものだったんだな、みんなカッコいいなあ…。この晴れやかな時間を何とか恥ずかしいことにならないよう普段の練習で頑張ってきたわけで、指導者として団員を一生懸命に引き上げて、そして祈る思いで迎えた本番でしたが、何と引き上げられていたのは私の方で、みなさんの「おまえを優れた指導者としてみんなに紹介したい」という優しい想いに包まれてこの上ない幸せなひと時を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。心から感謝しています。
 実際、皆さんと出会ってまだたった二年足らず。これはオラトリオの長い歴史からみればほんのわずかな時間で、人間的にはお互いにまだまだわからないところも沢山あるのでしょうが、ここでは音楽を通して密度の高い時間を過ごし、喜んだり、驚いたり、落ち込んだり、他の世界ではありえないくらい感情をむき出しにして向き合ってきましたから、演奏会の本番で感じた絆のようなものは、間違いなく去年の茅ヶ崎の時よりも強いものだったのでしょう。
第75回 定期演奏会 しかしまあ振り返るのは元々苦手で、しかも振り返ってもたかだか二年しかないわけで、前を向いて走り出すのみでありますが、次の演奏会の曲目が決まりました。この選曲には私のある想いがこもっています(もちろん私一人で決めたわけではありませんが)。 私が思う合唱の目指すべき方向といいますか、将来オラトリオが到達してほしい場所のようなものを提示できるかもしれないと思っています。うまく言葉にできませんが、自分たちが楽しむだけでなく聞きにきてくれた方達に楽しんでいただき、また是非聞きに来たい、次はどんな演奏会になるのか楽しみだと言ってもらえるような合唱団、少人数が得意とする美しいハーモニーと、大人数でないと実現出来ないスケールの大きな、聞く者を圧倒する迫力と響きを兼ね備えたような…。
 しかしそうなるとこれまで以上に一人一人の技術の向上や、指揮者を通してみんなが一つになる努力が必要になるだろうと強く思うのです。合唱を楽しく歌いたくて参加しているのに時々一人で歌わされたりしたら恥ずかしいと思う方、そこまでして自分の声の技術を高めたいと思っていない方もいるかもしれません。それでも頑張ってそれを乗り越え、団の全員が今の自分より少しでも素敵な歌が歌えるようになって、次の演奏会の舞台で今まで味わったことのない感動を一緒に感じたいと思っています。

指揮者 星野 聡



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